債権回収のための仮差押え|要件や具体的な流れなど詳しく解説
債権を回収するための方法はいくつかありますが、その一つに仮差押えというものがあります。
今回は、債権回収のための仮差押えについて、要件や具体的な流れなどを詳しく解説します。
仮差押えとは
仮差押えとは、債務者の財産を裁判所の命令で仮に差押さえ、債務者が自分で処分できないようにする手続きです。
仮差押えのメリットは大きく以下の2つです。
1.債務者が財産を処分できなくなる
訴訟による債権回収は、最終的には強制執行によって債務者の財産を差し押さえる必要があります。
しかし、強制執行は訴訟提起から完了まで通常1年以上かかるため、手続き完了前に債務者が銀行口座の残高を抜いたり、不動産の名義を変更したりするなど、財産を処分してしまう可能性があります。
このような場合、債務者の隠し財産を特定できなければ、強制執行による債務の回収はできません。
そこで、仮差押えすることによって債務者に財産の処分を禁止し、上記のリスクを回避できます。
2.債務者へのプレッシャー
二つ目は、仮差押えによって債務者がプレッシャーを感じることで借金の返済に応じやすくなる点です。
これは、仮差押え後に債務者が財産を処分することができなくなり、さまざまな不都合が生じるためです。
例えば、預金口座が仮差押えされた場合、債務者は仮差押えの範囲内で預金取引を行うことができなくなります。
また、場合によっては預金全体が凍結されることもあります。
このように仮差押えは債務者に対して大きなプレッシャーを与えます。
そのため、債務者との交渉が有利に働く可能性があるのです。
仮差押えの要件
仮差押えは、上記のようなメリットを持ちますが、実行には要件があります。
代表的な要件は、以下の通りです。
・仮差押命令の必要性
民事保全法20条1項において、「金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる」と定められています。
したがって、債権の全てが対象なのではなく、金銭債権のみが対象です。
・仮差押命令の対象
基本的に、仮差押命令は特定の物が対象です。そのため、債務者の所有する物を特定した上で行わなくてはなりません。
なお、動産の場合には、目的物を特定しないで実行もできます。
事例によって、他の要件が出てくる可能性もあるため、専門家に相談した上で仮差押えを実行することをおすすめします。
仮差押えの具体的な流れ
次に、仮差押えの流れについてご紹介します。
1.申立て
申立書や、目録などの必要書類を揃えた上で、申立てを行います。
なお、前述の通り仮差押えの対象が動産出ない場合には、対象を特定する必要があります。
2.書面審理
申立ての内容や主張の正当性を確かめるために、書面審理が行われます。
場合によっては、裁判官との面接によって行われることもあります。
3.担保金の供託
審理が完了した次は、担保金の供託を行います。
実際の担保金がいくらになるかは、事例によって異なりますが、相場としては債務者への請求額の3割前後です。
申立先裁判所を管轄している法務局に供託を行った後、供託が完了したことを証明する書類を裁判所に提出します。
4.仮差押決定
これらの手続きを踏んで仮差押えが完了します。
債務者に対しては、この段階で仮差押決定が知らされます。
債権回収に関するご相談は、美並・太刀掛法律事務所にお任せください
今回は、債権回収のための仮差押えについて、要件や具体的な流れなどを詳しく解説しました。
仮差押えは、債権を回収しやすくなるというメリットがありますが、財産調査や手続きにおける専門性が必要とされます。
そのため、仮差押えを実行する場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。
美並・太刀掛法律事務所では、債権回収に関するご相談を受け付けております。
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太刀掛 祐一Yuichi Tachikake
大阪弁護士会(49930)
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神戸市出身 homestead high school 卒業 慶應義塾大学 法学部 卒業 神戸大学法科大学院 卒業 弁護士登録 |
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